放射能の恐怖は目に見えない

ゴールデンウィークだので福島に帰省してきました。
震災前とほとんど変わったところはなかったですかね。
屋根の瓦が落ちてブルーシートがかかった家があちこちにあったり
通れない橋があったりした以外は。

ちょっと聞いてきた話。

  • 瓦屋

仕事の依頼はいくらでもあるんだけど、
肝心の瓦がないもんでどうもならんらしい。
あと、ベニヤ板も入ってこないので大工さんも仕事が進まない。
ので、地震から1ヶ月以上たった今でも補修されない家が多い。

  • 外国人

米国の80km退避の報で自国に帰った中国人も
「子供の学校が始まる」という理由で戻ってきたって。
東南アジアの人も戻ってきてるそうだ。

  • ブロイラー

鶏のエサが入ってこなくて卵を産めず、
痩せていくだけなので、早めに全部出荷してしまった。
おかげで食肉加工が大忙し。
でもこれからひよこを育ててもすぐには成長しないので
この先2〜3ヶ月は暇になるとか。そして卵は値上り。

  • ガソリンスタンド

80過ぎのじいさんが午前2時から並んでて
寒いので車内で練炭たいてたところ、
一酸化炭素中毒で亡くなった。
行列が踏み切りにかかってて
線路内で止まっちゃった車が
身動きできず列車と接触事故

  • テレビ

福島のテレビ放送では東電のお詫びCMが流れないのは知ってたけど、
未だにACのCMがハードローテーションしてる。
あと、常に下の欄に各地の放射線量が流れてる。

  • てか福島って

県で区切られたりしてるけど、
県内でも地域ごと、それこそ何百メートル離れたところで
放射線量が高いとこ低いとこあったりするし
他県で値が高いところと比べてぜんぜん低いとこもいっぱいあるしね。
福島ってだけでいっしょくたにしちゃうのは
とても馬鹿げてるし、すごく危険な事だと思わないかい?


地元の人たちはそこまで過剰に放射線を気にしてはいなかったように思う。
思うに実際、政府が引いた線は真っ当で、
退避圏外の人は、そんなに健康被害を憂慮する必要はないし、
気にしてたらストレスで死んでしまう。


確かに風評被害はそこにある。
他県の人が福島の内情を知らないように
福島の人も都会の人の事は分からない。
そして差別への偏見がある
少し過度に自虐的な感じも受けた。
笑い話にしてる位だから問題ないだろけど。


一部で若者たちは去りつつあるし、
寄り付かないようになってる。
自分の家族がいい例だ。

福島に帰れるか?

嫁は静岡の生まれで、東京で出会って
今、5歳と3歳の娘がいる。
前に書いたけど、来年上の娘が小学校に上がるのを機に
福島に移り住もうと計画してたんだけど、
こんなことがあって嫁が難色を示してね。。。


自分は口下手だから上手く嫁に説明できなくて
あぁそうか、と思って嫁も見れるようにMixiに先日の日記を上げたさ。


そしたら高校の同級生がなんか相談に乗ってくれてね。
そこそこ放射線の知識がある友人たちで、
とりあえず今の状態なら福島に子供連れで住むことは
そこまで影響があることじゃないだろうと。
もし仮に原発が再爆発するようなことになっても逃げる時間は十分にある。


ちなみに今、放射性物質のうち、ヨウ素はほとんど崩壊してしまってて
また、原発から大気に放出されてるものはないようだ。
放射性物質はイオンの状態で存在してると思われるので、
プールとかの水が蒸発しても濃縮されるだけ。)


そのうえで、こんなコメントをもらったの。

一番の心配は、無理して奥さんと子供と福島に行って、子供が調子悪くなるたびに奥さんとのけんかの要因が増えることです。だから、家族全体で完全なコンセンサスが得られるまで行くのはお勧めできないです。けんかしてストレスが溜まるほうが、よっぽど健康に害があると思います。

なるほどな、と思い知らされましたけど。


改めて嫁に聞いてみたら、
もう、放射能があること自体が不安で不満らしい。
「どうして今よりリスクの多くなるところに行くの?」


こうなるともう、先のコメントくれた友人曰くの

今でも住めるけど、今の放射線量率を気にしているなら当分というか十数年は無理なんじゃないかなあ・・・台風がどんどん来て撒き散らして拡散すれば別だけど。

って事になってくるんだよね。


今、土壌を汚染してるのはセシウムで、半減期が30年と長い。
全域的に表土をさらったりしない限り
今の放射線量はなかなかさがらないだろう。


もし帰れるとしたら、それこそ娘たちが大学進学とかで
親元離れたりする頃かな。
なんかね。。。


自分の気持ち的には福島に帰りたいんだけど
どうにもこうにも
実は、僕の中には脅迫観念みたいなものがあって
それは例えば選挙の投票みたいなもんで
自分一人くらい行かなくてもいいや、って思ってても
そんな考えが蔓延すると、多くの人にとって不利益になる。
だから帰りたい!でもそれはやっぱりちょっと違うかもしれない。


生まれ育った場所が違えば、
捉え方も変わってくるんだろうな。


見えないけれどあるんだよ、
見えぬものでもあるんだよ。