自分の生い立ちについて書いてみる
俺の親父はおふくろが俺を身籠るとすぐに余所に女を作って逃げた。
校長の次男坊でそこそこボンボンの親父は割とサボり癖のある人で、仕事で営業所を一人で任されると昼間つから競馬場に入り浸ってた。
おふくろは子供が出来たら真面目に仕事するようになるんじゃないかと期待してたんだけど、当てが外れたらしい。
1人になったおふくろは夜間大学の勉強しながら妊娠期間を過ごしてたんだけど、いざ産まれるようになった子供は逆子だった。
当時は逆子だからって必ずしも帝王切開にはならなかったのかな、普通分娩でのぞんだ出産は難産でした。
仮死状態で産まれた赤子はなかなか泣かなかった。一時間も逆さ吊りにして引っ叩いて漸く産声をあげたんだけど、お医者様にはもって半年だね、って言われたらしいよ。
心細かっただろうね、旦那に逃げられてそれでも一生懸命産んだ子供が、長く生きられないだろうってね
その後しばらく大学病院で精密検査やら通ったそうなんだけど、特に大事もなく成長していきました。
母子家庭で育てるのに手が回らない部分は、まだ孫がいなかった親戚のじいちゃんばあちゃんに日中預けられてそれはそれは可愛がってもらいましたそうな。
当時はずいぶん大人しい子供で、一つのおもちゃで(くるまとか)黙々とひたすら遊んでた。「この子はこんなに大人しくて大丈夫なんだろうか」と不安になるくらい。
おふくろは片親だからって不自由に感じさせちゃいけないってんで、休みの日はよくあちこち連れ回したらしい。でもゴメンね、その頃の事はほとんど記憶にないよ、
保育園は3箇所ほど転々とした。送りの車の中でぬりえを描いてた。ガキ大将に馬乗りにされてた記憶があるから、多分いじめられっ子体質だったんだろうな。
遠足の時、通った事がある道に気付いて列を離れて1人でじいちゃんの家に。じいちゃん慌てて保育園に連れ戻した。
発表会か何かで、「将来何になりたいか」てのがあって、前の子が答えたの聞いて「なにそれかっこいい」と思って同じの答えた。
「F1レーサー」
なんの事かは分かってなかった。
多分、続きます。